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サーバルーム空調機の種類とは・・・?(1) ~熱の種類編~

  • T.Mogi
  • 2021年6月14日
  • 読了時間: 4分

空調に関わる歴史は非常に古く、紀元前に遡るそうです。

山の雪を利用して、氷水を飲んだというのが、冷熱利用の起源という中国における記録があったり、エジプトの砂漠地帯では素焼きの瓶に水を入れ夜間に屋外に出しておき、蒸発潜熱で冷却をしたことが知られているようです。

我が国においても、日本書紀に、奈良時代に氷室に貯蔵した氷を夏季に使用したという記録があるそうです。

そして、1800年代に突入し、ヨーロッパで熱力学理論を見出し、冷凍機の開発が進められるという転換点を迎え、今に至るのです。

驚くことに、これらの転換点は、明治維新よりも前の出来事なのだそうです(江戸時代ですね)。


さて、サーバールームに利活用する空調機にはどのような特徴があるのかご存知でしょうか。

空調を学問として学び、空気線図を読める方でしたら、既知のことかと思いますが、「顕熱」と「潜熱」を知らなければなりません。

「顕熱」は難しくなく、温度が上昇下降する時に変化する熱を顕熱といいます。

「潜熱」が少々厄介で、水の状態変化というのを義務教育の時に学ぶのですが、蒸発(水→水蒸気)や融解(氷→水)や凝固(水→氷)などの、状態を変化させる、いわゆる「三態」というもので、温度変化が起こらない状態変化を指します。

もっと突っ込んでしまうと、「顕熱」+「潜熱」=「全熱」となります。

「全熱」は、熱エネルギー(エンタルピ)ともいい、温度が変わらない顕熱よりも、状態変化を伴う潜熱が加算された全熱の方が、温度が変わらなくても、エンタルピが高くなるという理解で結構です。


大変わかりにくいのが「潜熱」ですね。

ちょっと身近なものに例えましょう。

夏場のビールは最高なのですが、あれは、高温多湿の夏に、キーンと冷えたあれを身体に流し込むのが、火照った身体に心地よいのですよね。

では、冷えたビールをテーブルに置いておくと、どうなるのでしょうか。

ジョッキの回りが大量に濡れますよね。

あれは、冷えたビールが、ジョッキの回りの湿って暖かい空気を冷やすことによって、ジョッキの回りの空気が冷やされ、水になるのです(三態の液化というやつですね)。

また、夏場に打ち水をすると涼しくなります。

熱いアスファルトや土に、水をかけることで、水を蒸発(三態の昇華というやつですね)させることで、路面の熱を奪うことによって涼しくなるのです。


では、空調機に置き換えてみましょう。

人間への空調は、温度もそうですが、湿度も大変重要な要素です。

このことは、既に「サーバルームの適正空調環境って・・・?」のブログでお話ししています。

夏であれば、温度を下げると同時に、除湿をします。

冬であれば、温度を上げると同時に、加湿をすることで、心地よさを実現するのです。


サーバールームは人間ではなく、ICT機器を対象に、冷却を行ないます。

静電気発生緩和の観点から、勿論湿度も大切な要素ではありますが、ICT機器は基本的には潜熱ではなく、顕熱を意識します。

機器の発熱はあくまで顕熱上昇しかしないからです。

そうなると、人間に対する空調と、サーバールームの空調では、おのずと考え方が異なるということに察しがつきます。


詳しいことは、次回の「サーバルーム空調機の種類とは・・・?(2) ~方式編~」に記載しますが、以下のように空調における整理ができます。


■人間への空調(健康空調):「顕熱」+「潜熱」 →空調の種類は【一般空調】となる

■サーバルームの空調(産業空調):主に「顕熱」 →空調の種類は【高顕熱空調】となる


サーバルームへの空調は、高顕熱除去を意識することで、効率よく冷却することが可能であることがいえるのです。


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